全国の社寺の数は約158,000棟ですが、この数は巷でよく見かけるコンビニエンスストアの数約56,000店と比較すると相当に多いということが分かります。
社寺とは、神社と寺院の事を指しますが、これらの建築物のほとんどは現在の建築基準法に基づき建てられたものではありません。
歴史的建築物である社寺建築には多くの建築様式があり、それぞれの歴史や地域に合った様式が使われています。また先人の棟梁の知恵も多く取り入れられており、地震や湿気の多い日本に馴染みやすいものなのです。
構造は、地震の際に大きく揺れて地震力を吸収し元に戻る復元力を持ったものとなっており、所謂「柔構造」です。
建築基準法が制定されたのが昭和25年、日本の歴史から比べるとまだまだ新しいものです。耐震性の考え方も地震力に耐えられるよう、揺れないように壁の量を多くし賢固に固定する方法が用いられており、所謂「剛構造」です。
社寺は過去の大きな地震や災害に耐えた歴史ある建物です。
日本の気候風土に合った「柔構造」の社寺建築物の耐震性を評価する方法として「社寺建築動的耐震診断」を用います。
常時微動を用いて、実際の建物の振動を計測し、その建物の振動特性値を求めることによって耐震性能を評価する方法です。無理な力を加えることもないので建物を傷めることもなく安心して受診いただく事が可能です。
法に替わる安全性を限りなく評価し、見える化することにより安全と安心を確保し、日本の歴史的文化である社寺建築を次世代に遺していきたいと考えます。
一般社団法人 伝統構法耐震評価機構
代表理事 杉本龍一